江の島に咲く花≪ハマウド≫ ハマウドは海岸に生える多年草で、関東以西の本州から四国、九州、沖縄に分布し、大形であることから別名をオニウド(鬼独活)とも呼ばれ、江の島では天台山から稚児ヶ淵に向かう西側の海辺に生育しいています。
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ハマウド(浜独活) Angelica japonica |
ハマウドは海岸に生える多年草で、関東以西の本州から四国、九州、沖縄に分布し、大形であることから別名をオニウド(鬼独活)とも呼ばれ、江の島では天台山から稚児ヶ淵に向かう西側の海辺に生育しいています。江の島の海辺には同じセリ科のアシタバも生育しており、草姿がハマウドによく似ています。アシタバは食用になりますが、ハマウドは食用にはなりません。 両者を識別するポイントは、ハマウドの茎には暗紫色の筋が入っており、葉により光沢があることです。また茎を折ってもアシタバのような黄色い液体は出ません。花期4~6月で生育環境:海岸、海辺 |
![]() 江の島の海辺に咲くハマウドの花 |
開花時期も異なり、アシタバは8月頃の暑い時期に開花します。ハマウドによく似た仲間のシシウド(Angelica pubescens)は本州~四国の山地に生えますが、江の島には自生していません。 シシウドは大形で強靭であることから、イノシシが食べるウドに見立てて名付けられたとされています。セリ科植物の特徴は複散形花序にも見られ、特にシシウドの花は開いた仕掛花火のように大きくて豪華です。身体が大きくて役に立たない人の譬えを『独活の大木』といいますが、ウド(独活)にとっては迷惑千万、与えられた天命を、厳しい環境のなかで精一杯生きているのです。 |
![]() ![]() 艶のあるハマウドの葉 と 筋の入ったハマウドの茎 |
ハマウドの茎は暗緑色を帯びて直立し、高さは1~1.5㍍、葉の質は厚く1~2回3出羽状複葉で光沢があります。 花期は4~6月、茎の先に大形の複散形花序を出し、白色の小さな5弁花を多数開き、果実は広楕円形でふちに翼があります。 一般にウド(独活)といえば食用になるウコギ科のウドを指し、春の山菜として栽培もされます。どちらも葉は羽状複葉で大きな散形花序をつけますが、ウドの葉は柔らかくて全体的に弱々しい感じがします。しかしセリ科のハマウド、シシウドは大きくて強靭です。 和名の由来は浜に生え、その葉がウドに似ることからハマウド(浜独活)で、ウド(独活)は風がないのに葉が動いているように見えることによります。 |
【写真&文:坪倉 兌雄 2010-04-17】 |