初冬の江の島を訪れると、岩場や崖でひときわ目立つイソギクに出会います。
関東~東海地方、伊豆諸島の海岸に分布する多年草で、
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イソギク(磯菊)Chrysanthemum pacificum |
初冬の江の島を訪れると、岩場や崖でひときわ目立つイソギクに出会います。 関東~東海地方、伊豆諸島の海岸に分布する多年草で、吹き付ける強風にも怯むことなく、しっかりと岩場に根を下ろし、黄色い頭花を開きます。花は美しく、葉には光沢があり楔形で厚く強靭です。 |
![]() 江の島の海辺に生えるイソギクの花 |
イソギクの茎の高さは20~40cm、群れて生え上部に銀白色の毛があります。葉は厚く密に互生し、倒披針形~倒卵形で長さ4~8cm、幅1.5~2.5cm。上半分は羽状に浅い切り込みがあります。表面は緑色を呈し、裏面は銀白色の毛が密生しています。頭花は黄色で散房状に多数つきますが、他の菊で見られるような舌状花は無く、筒状花のみです。和名の由来は磯に生える菊〈キク〉で、キクの語源は漢音です。漢字は手の中に米を丸めて握るさまを表し、多くの花を丸めて握ったような球状花序を示すといわれています。属名のchrysanthemumは「金の」、anthemonは「花」で、ギリシャ語起源のラテン語です。 |
![]() ![]() イソギクの花とハマギクの花 |
よく似た名前のハマギク(浜菊)は、イソギクと同じキク科のキク属ですが、草本ではなく落葉の小低木です。ハマギクは青森から茨城県にいたる太平洋側に分布し、日当たりのよい断崖や砂浜に生育しますが、江の島には自生していません。比較的栽培しやすいことから観賞用としての人気があり、島内のセンタープロムナードやその付近にも植栽されています。花期は10月中旬、枝先に1個の頭花をつけ、中央の筒状花は黄色で外側の舌状花は白色です(写真右)。和名の由来は浜辺に咲く菊の仲間でハマギク(浜菊)。 |
【写真&文:坪倉 兌雄 2009-12-05】 |