ボタンボウフウ(牡丹防風)Peucedanum japonicum セリ科ヤマゼリ属
海辺の強風にはびくともしない強壮な多年草で、江の島の日当たりの良い断崖や岩場、砂礫など、厳しい自然条件のなかに自生している。
ボタンボウフウ(牡丹防風)Peucedanum japonicum |
海辺の強風にはびくともしない強壮な多年草で、江の島の日当たりの良い断崖や岩場、砂礫など、厳しい自然条件のなかに自生している。江島神社・奥津宮から海側へ進んだ稚児ヶ淵付近や、かながわ女性センター裏の石垣などで、身近に観察することができる。本邦では関東地方~石川県以南の海岸地帯に自生し、八重山諸島では長命草と呼ばれて食材とされ、健康食品としても注目をあびている。 |
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江の島には同じセリ科の多年草にアシタバやハマウドがあり、前者は食用になるが後者は食用にはならない。ハマボウフウは海岸の砂地を好むが、江の島には自生していない。 砂浜の浸食や乱獲により全国的に減少傾向にあり、その保護育成を目指してボランティア活動が各地で行われている。 ボタンボウフウの茎は直立し20~70cmくらい。 葉は1~3回3出複葉で光沢があり、質は厚く青白色。小葉は長さ3~6cmの倒卵形で浅く切り込み、先はとがる。表面はクチクラ層が発達し、塩害防止や過度の水分蒸散を防いでいる。 6~9月、複散形花序に白色の花を上向きに多数開く。和名の由来は葉がボタンの葉に似て、花序が中国渡来の薬草「防風」に似ることに因む。 防風とは風邪を防ぐ意味で解熱・鎮痛剤に用いたことによる。 |
【写真&文:坪倉 兌雄 2009-09-05】 |