江の島に咲く花≪ハチジョウススキ≫
ハチジョウススキは、関東以西の太平洋側、四国、九州、沖縄に分布するイネ科の多年草ですが、伊豆諸島や小笠原の海岸に多く見られ、特に八丈島に多いことからハチジョウススキと呼ばれています。
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ハチジョウススキ(八丈芒)Miscanthus condensatus |
ハチジョウススキは、関東以西の太平洋側、四国、九州、沖縄に分布するイネ科の多年草ですが、伊豆諸島や小笠原の海岸に多く見られ、特に八丈島に多いことからハチジョウススキと呼ばれています。八丈島ではマグサ(秣)とも呼び、牛馬の飼料に利用されてきました。江の島では日当たりのよい海側傾斜地などに生育し、葉裏にやや白粉を帯び、葉幅があり、縁のざらつきが少なく花穂は豊かです。江の島に自生するのはハチジョウススキとススキの雑種で、エノシマススキとも呼ばれていますが、両者の見分け方は難しく、ここではハチジョウススキとして紹介しました。花期は8~11月 生育環境は海岸・海辺 |
![]() 稚児ヶ淵付近に生えるハチジョウススキ |
島内には同属のススキも自生しています。ススキはカヤ(萱・茅)とも呼ばれ、刈り取って乾燥させ屋根を葺く材料として利用されてきました。昭和40年代頃までは茅葺の屋根を日本各地で見ることが出来ましたが、現在はほとんど目にすることがなくなりました。ススキの花穂の出始めが、動物の尾に似ることから尾花とも呼ばれ、秋の七草の一つとして、万葉集には40種以上も詠われています。 秋づけば をばなが上に 置く露の 消ぬべくも我は 念ほゆるかも 日置長枝娘子(へきのながえのおとめ)が大伴家持に贈った歌一首 (巻第8-1564)。 |
![]() ![]() ハチジョウススキの花穂 江の島の海辺に生えるススキ |
イネ科植物の中空な茎を稈といいますが、ハチジョウススキの稈は太くて高さは1~2mあります。葉の幅もススキに比べて広く2~4cmで、葉の裏側はやや粉白色帯び、縁は多少のザラツキますが、ススキのように強くはありません。葉鞘は長く稈を包み、葉舌には毛がありません。 花期は8~11月、太くて長い花序の枝を多数広げて小穂を密につけ、ススキより豊かな花穂となります。 和名の由来はススキの仲間で、八丈島に多くみられることからハチジョウススキ(八丈芒)で、ススキにはすくすく立つ木(草)、などの諸説があります。 |
【写真&文:坪倉 兌雄 2010-12-11】 |