ノシラン(熨斗蘭)は関東以西の本州、四国、九州、琉球諸島の海岸近くの林のなかに生える常緑の多年草で、江の島では海辺の林内や神社の境内、参道傍などに生育しています。
葉は光沢のある深緑色、夏に白い清楚な花を開き、種子は青から美しいコバルト色に熟します。
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ノシラン(熨斗蘭)Ophiopogon jaburan |
ノシラン(熨斗蘭)は関東以西の本州、四国、九州、琉球諸島の海岸近くの林のなかに生える常緑の多年草で、江の島では海辺の林内や神社の境内、参道傍などに生育しています。葉は光沢のある深緑色、夏に白い清楚な花を開き、種子は青から美しいコバルト色に熟します。 名前の由来は、花茎が平たく伸し(熨斗)たように見えることに因みます。生育環境は海岸近くの林内で花期は7~9月 |
![]() 江の島神社境内に咲くノシランシラン |
熨斗は「のしあわび」の略で、精神・清浄の象徴とされ、かつては神にささげる品として、新鮮な肴(魚介類)をお供えしたことから始まったもので、その後、あわびの肉を薄く切り、火のしを使って平らにのばして乾かし、贈答品などに添えたとされています。 いわゆる熨斗は“伸びる・永続”を意味し、慶事などの進物に添えていましたが、現在では印刷した熨斗袋や熨斗紙で代用されるようになりました。 江の島の鎮守の森に育つノシランは、江の島のイメージにマッチした植物の一つでもあります。熨斗蘭(ノシラン)と聞くとラン科の植物と思われがちですが、実はユリ科で、葉が蘭の葉に似ることから、ランと付けられたものと考えられます。 |
![]() ![]() ノシランの葉と花 コバルト色に熟したノシランの実 |
ノシランはジャノヒゲ属で、根は太く葡匐茎はありません。葉は線形で長さ30~80cm、幅7~15mm、深緑色で厚く光沢があります。花期は7~9月、花茎は叢生し長さ40~60cm、著しく扁平な2稜形で狭い翼があり、斜上してその先に長さ7~13cmほどの総状花序を出し、白色または淡紫色の花を密につけ下から咲き上がります。 花被片は広披針形で長さは約6mm、花後、胚珠(はいしゅ)が発達して種子となり、種子は楕円形で約1cm、美しいコバルト色に熟します。 よく似た同じユリ科のヤブラン(ヤブラン属)は葉が小さく、淡紫色の小花を多数穂状に開き,液果は碧黒色に熟しますので、見間違えのないようにしましょう。 |
【写真&文:坪倉 兌雄 2010-08-21】 |